こんにちは、ゲストハウスyuyuの奥村です。
雪も積もり、すっかり「雪結(yuyu)」にふさわしい季節になりました。
第2回目となる【連載】yuyuの大切なひと。
今回は、yuyuの全ドミトリーに利用しているカーテンのデザインを担当してくださった、版画家で染色家の橘内美貴子さんにお話を伺いました。
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〜橘内 美貴子(きつない みきこ)〜
版画家
アソビテキスタイル 主宰・代表
1978 日本最東端 北海道根室市生まれ。札幌市在住。
日本版画会・北海道版画協会 会員
大学にて版画と染色に出会い、卒業後は教員・札幌芸術の森 版画工房のスタッフを経て、現在総合教育機関の時間講師をしながら、アソビテキスタイル主宰・代表として「あそべるテキスタイル・あそびのあるスタイル」をモットーに制作やワークショップを行っている。
北海道札幌市の折り紙作家「折紙かのか」や北海道ニセコ町の帽子屋「The Mad Hatter,Niseko」とコラボレーション商品も展開している。
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「楽しく仕事をする」ことを大事にし、いつもエネルギッシュに活動を続けられている橘内さん。
エゾシカやヒグマなど北海道の動物をモチーフにすることが多く、例えばシャケを食べる瞬間のヒグマや、雑貨屋さんではあまり見かけないリアルにデザインされた昆虫など、「それをモチーフにするんだ!」と、思わずくすっと笑ってしまうデザインを常に生み出しており、わたしもずっと気になっている作家さんでした。
そんな橘内さんがyuyuのカーテンデザインを引き受けてくれたきっかけ、そしてそのデザインに込めた思いをお聞きしました。
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北海道のことを知らない道産子が多い
ーまずは、今回引き受けてくださったきっかけを教えてください。
橘内さん:
wayaの近くで展示会をしていた時、前から木村くん(※yuyuマネージャー)とは知り合いだったので、見に来てよーって言ったら来てくれたんですよ。
そうしたら、そこで展示していた北海道モチーフの手ぬぐいを木村くんが気に入ってくれたみたいで。
yuyuのイメージが結晶ということを聞いて、「こういうデザインもあるよー」といろいろ見せてたら「yuyuのカーテンデザインと制作をお願いしたいです」となったんです。
ー橘内さんのデザインは、北海道モチーフが多いですよね。
橘内さん:
生まれ故郷でもなければ育ってもいない他の都道府県に思いははせるけど、自分の故郷は「たいしたことない」って思い込みがち。わたしがそうだったんだけど。
久し振りに地元の根室で海を見たとき、根室の海ってこんな色だったんだ、と再確認して、そういえば地元のことや北海道のこと、思えばあんまり知らないなあ、って思ったの。
これはわたしだけじゃなく周りの人も同じかもしれないと思い、身近なところから北海道を感じてもらいたいなということで、北海道の人に向けて北海道のキャラクターをモチーフにしはじめました。
▲男女混合ドミトリーのカーテン
ーyuyuのカーテンのモチーフはどのように決めたんですか?
橘内さん:
せっかく雪結(yuyu)という名前だから雪の結晶だけでもよかったのだけど、なんだったら面白おかしくしたいでしょ。北海道と青森の間にブラキストンラインていう生物の境界線ラインがあるんだよね。だから北海道には本州にはあまりいない動物が多いんだよ。例えばヒグマ(クマ注意はよく見ますよね)。ヒグマに付随するものといえばサケ。あとヒグマの獲物になるものといえばエゾシカ。それにキタキツネもいるよね〜っていう感じで木村くんと決めていったの。
ーモチーフを羅列させているのが特徴的ですね。
橘内さん:
そうですね、羅列の中にもいろいろ種類があるんですよ。
全部手描きで版をおこしているので微妙な線の違い、表情の違いっていうのがパターンの中にあるんです。お客さんの寝るベッドを飾るので、ベッドの中でぼーっとしてるときに、「あれ?」ってお客さんが気づいたら面白いかな、という思いもあって、コピペせずすべて手描きで羅列させています。
▲鮭のパターンが羅列している。よく見ると、一つ一つ顔が違う。こっそりyuyuという文字も紛れ込んでいるなど、”遊び”に富んでいます。
日本、そして北海道を知ってほしい
ー私たちスタッフが結晶の型を切ったり、習字で文字を書いたりしましたね。
橘内さん:
スタッフのみんなに手伝ってもらったのは、作るものをスタッフが愛して、作る過程のエピソードがあると、泊まりに来たお客さんにもそのことを話すことができ「あ、そうなんだ」って思ってもらえることもあるかもな。そして、北海道をもっと知ろうと思うきっかけになってもらえれば良いなと思って、手伝ってもらいました。
▲結晶を1つ1つスタッフ、そしてワークショップに参加してくださった近隣の方と一緒に刷りました。
ー色にもこだわりがありますよね。
橘内さん:
色も海外のお客さんに紹介できるように日本語の名前があるものとか北海道のものにちなんだものにしたの。だから、デザインの中に学名や英語、アイヌ語表記をいれてるんですよ。
そこから話が盛り上がったりできるような、そんなスタッフとお客さんを繋げる1つのお手伝いがこのカーテンでできればいいなという狙いもあります。
みんなと一緒に作った合同の作品
ー実際に使われてるカーテンをみてどうでしたか。
橘内さん
yuyuのみんなと話あって、私がみんなに手を貸しただけっていう。
ま、そういうものとして見ていたので、わーすごいとは思ったけど、自分一人の作品ではないですね。みんなと一緒に作った合同の作品と感じています。
とくに今回は、ワークショップなどで近隣の方と一緒に雪の結晶を刷ったり、みんなと共に制作をしていたので、一緒に制作してくれてありがとうて感じですね(笑)。
でも、本当に(作業時間は)長かったです。。。
▲すべてのカーテンを刷り終わった深夜未明に撮影…スタッフ一同本当に感謝しております。
ー最後に、是非今後の活動についてや、告知をお願いします!
●2017.1/24(火)~29(日)
「第20回 多摩美術大学版画OB展 」
さいとうギャラリー
札幌市中央区南1条西3丁目1番地 ラ・ガレリア5階
↑多摩美術大学出身ではないのですが、ご縁があり真面目な方の版画で参加。
●2017.1/27(金)~29(日)
「ねむろバードランドフェスティバル2017」
根室市敷島町2-9 ベル・クラシック根室(ウェディング会場)
↑「The Mad Hatter,Niseko」と共同ブースでほっかいどうぶつたちの雑貨を販売。
1~2ヶ月に一度はどこかで展示や販売を行っています。
機会がありましたら、いや、なくても機会を作って私の作るモノに会いに来てください。
▲とってもチャーミングな橘内さん!いつも私たちスタッフを励ましてくださいます(笑)
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わたくし奥村は、このみんなで刷った膨大な量の生地を、カーテンにする作業(ミシンで縫う)を担当しました。
その分、いっそうのこと、このカーテンはyuyuの中で「愛する」もののひとつとなっています。これからも大事に大事にし、そして橘内さんや私たちの想いを、ゲストさんたちにも伝えていきたいと、インタビューを通して改めて感じました。
さて、次回の「【連載】yuyuの大切なひと。」は、リビングを彩る照明を制作してくださった折紙作家の品田さんです。
お楽しみに!^^