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【連載】yuyuの大切なひと。file.03 折り紙作家/品田美里

2017.04.22

品田美里さん
こんにちは、ゲストハウスyuyu、マネージャーの木村です。
札幌は、雪解けも始まり春が待ち遠しい季節になりました。
 
第3回目となる【連載】yuyuの大切なひと。
 
今回は、リビングルームを暖かく照らす、折り紙照明を作成して下さった品田美里さんにお話をお伺いしました。
 
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〜品田 美里 (しなだ みさと)〜
折り紙作家
折り紙かのか 代表
 
北海道札幌市出身。大学卒業後、淡路島で日本語教師、農作業などを経験。帰札後、2013年から「折紙かのか」として折り紙を使った制作活動を開始。自然から得た感性と、折り紙を自由自在に操る技法で、モビール、アクセサリーなど幅広い制作活動を展開。
2015年の作品展、催事出展などを経て、照明デザイン事務所「イリス」とのコラボで、「origamiL(オリガミル)」を2016年結成。現在は、銀行、店舗、ホテルと業種問わず、オーダーメイドの照明製作を行なっている。
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前回のインタビューに登場いただいた、版画家/染色家の橘内さんを通じて品田さんの作品と出会い、その空間をふんわりと、そして優しく照らす折り紙照明に感動し、yuyuの照明制作をお願いしました。
どんな時も優しく、人との繋がりを大切にする品田さん。
そんな品田さんに、雪珠の誕生秘話について、お聞きしました。
 
 
yuyuのリビングルームを暖かく照らす2つの折り紙照明、雪珠(ゆきたま)
▲yuyuのリビングルームを暖かく照らす2つの折り紙照明、雪珠(ゆきたま)
 
 

雪の世界観を六角形の折りで表現

 
ー今回、照明を作成する際に、こだわったポイントを教えてください。
 
品田さん:
yuyuの象徴である「雪」の形を再現することに試行錯誤しました。通常、折り紙は平面的であったり、カクカクしているものが多いと思います。
今回は、雪結の世界観を演出するために、柔らかいフォルムのものを作ろうと心がけました。
雪珠の六角形は、正方形の紙を6枚同じ形に折って作成しています。
 
雪の形を六角形で演出。重なった紙に見られる光の陰影も見所の一つ
▲雪の形を六角形で演出。重なった紙に見られる光の陰影も見所の一つ
 
 
ー照明に使ってる素材にもこだわりが感じられます。照明に使っている素材は和紙でしょうか?
 
品田さん:
和紙ではなくワーロンシートという素材です。ワーロンシートは、内側に和紙が貼られていて、光源で灯火されたときに和紙っぽく見えるようになっています。ワーロンシートは、難破性や防炎性等の機能を付加した和紙をラミネート加工した建材製品として、強化障子(やぶれにくい障子)にも使用されています。
 
 
ー今回の雪珠のデザインはどのように考えましたか?
 
品田さん:
デザインを考えるとき、明確な折り方や設計図が元々あるわけではないので、空間に合う抽象的なイメージだけを持って、無心になって何時間も折り続けます。
でも、今回の照明は、自分が以前つくった作品の一つ、「流氷」の八角形がベースになっています。
流氷をアレンジして、雪のイメージである六角形を再編しました。
 
雪珠のモデルになった八角形が特徴の「流氷」
▲雪珠のモデルになった八角形が特徴の「流氷」
 

ものづくりの秘訣は自然体であること

 
ー折り紙ということもあって、デザインは自由自在ですね。折り紙を使って制作活動をはじ
めたきっかけを教えてください。

 
品田さん:
折り紙をはじめた最初のきっかけは、淡路島から札幌に戻って来たときに、「ツーン」と冷たい北国の冬の空気を感じて、空から降り注ぐ「雪」がキレイで、「わぁー」て、何か自分の中から溢れ出てくるものがあって、無性に何か手を動かしたくなったんです。
その時に、たまたま家に折り紙があって、無心になって何時間も折りました。
折っているうちに、気がついたら形(作品)になっていて、その日から少しずつレパートリーを増やしていきました。
 
雑貨 (モビール)。48枚折り紙を使用
▲雑貨 (モビール)。48枚折り紙を使用。
 
折り紙でつくったイヤリング。京都の黒谷和紙を使用。
▲折り紙でつくったイヤリング。京都の黒谷和紙を使用。
 
ブローチ、”kikka(キッカ)”という折り。
▲ブローチ、”kikka(キッカ)”という折り。
 
 
ーどれも可愛くておしゃれですね。抜群に女子受けしそうです(笑)。 小物をつくるうちに照明製作にもチャレンジしたんですか?
 
品田さん:
照明を製作することになったのは、照明デザイン事務所 イリスの中屋さんにお声かけ頂いたことに始まります。イリスの中屋さんは、国内外で大きな商業施設やホテルの特注照明をつくられている照明デザイナーさんです。2016年から中屋さんと折り紙の特注照明のデザインを一緒にご提案させて頂いています。
私は折り紙作家でしかないので、私が考えた「折りデザイン」を中屋さんが折り紙照明にして下さるんです。
 
照明デザイン事務所イリスのホームページ
▲照明デザイン事務所イリスのホームページ。http://www.ld-iris.co.jp/
 
ー雪珠も2人の共同合作だったんですね。オーダーメイドで照明を受注するうえで大切にし
ていることを教えてください。

 
品田さん:
照明のおおよその大きさや空間のイメージなどをお聞きして、イメージを膨らませていきます。
なので、今回のyuyuさんのオーダーは雪のイメージと「カフェみたいな感じ」、「柔らかい光の中でゆったりしてもらう空間」という空間のイメージをお聞きして、ゲストハウスを利用したことのないような女性の方にも利用してほしいというお話も伺って、名前が「雪結」なら、雪の珠のような可愛いイメージがぴったりだなって。
先ほどお話しした雪珠の基になった「流氷」は、「大地みらい信用金庫 札幌支店」という根室に本店がある信用金庫に設置されています。根室と言えば流氷かなと、イメージを膨らませて製作しました。その空間から感じられるインスピレーションを元に、照明製作を行うようにしています。
 
ー最後に、今後の展望はありますか?
 
品田さん:
折り紙照明の折りデザインは、とても楽しくて、ずっと続けていきたい仕事です。今後は、イリスさんとの「origamiL(イリス×折紙かのか)」を展開していく予定です。
少し前までは、自分が折り紙を仕事にするなんて、考えてもいませんでした。小さなアクセサリー作りからはじまり、中屋さんに頂いた照明シェードの折りを考える機会が、私の折り紙の幅を拡げてくれました。小さなアクセサリーでは思い付かなかったことが、照明ではできたりして、それが自分の想像を超えるものになったりするので、自分でも驚きの連続なんですが、そういった経験や人との出会いで、どんどん自分の考え方も変わっていくと思います。
未来のことは、今自分がもっている知識とか力量の中で判断するっていうのは逆にできないことじゃないかと思ってて、逆に自分はこうなるんじゃないのかなっていうのは明確には考えてないです。川の流れに身を任せ的なのはあるのかもしれないですね。
 
「折り紙かのか」のホームページ
▲「折り紙かのか」のホームページ。http://www.shinadamisato.com/
 
 
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ゲストハウスを運営する中で、照明の大切さを感じる瞬間があります。
それは、朝リビングルームの照明を点灯する時です。
私たちにとって、灯りを灯すことは1日の始まりを告げる合図。2つの雪珠が点灯することで、雪結の1日も始まります。
 
雪結のリビングルームを明るく、そして優しく照らす雪珠。
ぜひ雪珠を見に雪結に遊びに来てくださいね!
 
次回は、yuyuの物件オーナー蔵田さんの登場です!オーナー蔵田さんが家主として感じて
るyuyuへの思いとは。びっくり話が飛び出すこと間違いなし!乞うご期待!

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